語源
「富士」の名の由来には諸説あり、はっきりした語源は定まっていません。
市の広報によれば、古代の文献には「福慈」「布士」「布自」「不尽」「不二」「不自」といった表記が見られ、平城京で発見された木簡には**「富士郡」**の名が確認できます。また市内の東平遺跡からは「布自」と墨書された土器が出土しており、少なくとも古代にはこの表記が用いられていたことがわかります。
表記がこれだけ揺れているということは、「ふじ」という音が先にあり、漢字は後から当てられたことを意味します。だからこそ字面(富む士、不二=二つとない、不尽=尽きない)から意味を読み取ることはできず、語源は未詳のままです。
市名は、富士山麓のこの古い地名を受け継いだものです。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 奈良 | 富士郡 | 平城京出土の木簡に見える |
| 奈良・平安 | 福慈/布士/布自/不尽/不二/不自 | 文献上の表記が複数ある |
| 奈良 | 布自 | 東平遺跡出土の墨書土器 |
| 昭和 | 富士市 | 1954年市制施行、1966年に吉原市・鷹岡町と合体 |
| 平成 | 富士市 | 2008年に富士川町を編入 |
地名の特徴
「ふじ」は、山の名・郡の名・市の名として一貫して用いられてきた、きわめて息の長い地名です。表記が定まらないまま音だけが伝わった典型例で、語源をめぐる説の多さもそこに由来します。
なお市内には、富士川の流路変化や砂州の形成にちなむ「島」のつく地名、「新田」「原」「沢」など開墾地・地形を示す地名が多く残ります。これらは市域内の小地名の話であって、「富士」の由来ではありません。