語源
「富岡」という地名の語義を説明する確かな資料は、現時点で確認できていません。 「富む岡」と解する説を紹介する資料はありますが、根拠を示したものではなく、定説とは言えません。
一方で、町としての富岡がいつ・どのように生まれたかははっきりしています。富岡の町屋は、慶長17年(1612年)ごろ、当時の代官中野七蔵の指導で一ノ宮の地から集団移住した人々によって形成されたのが始まりです。中野代官は富岡新田の開発に着手し、新しい町の造営を行いました。つまり「富岡」は、近世初頭に新たに開かれた町に付けられた地名ということになります。
その後、元和2年(1616年)に前田利孝が立藩した七日市藩1万石の陣屋が置かれ、明治5年(1872年)には官営富岡製糸場が開設されて、製糸工業都市として発展しました。ただしこれらはいずれも地名が付いた後の出来事であり、「富岡」という名の由来ではありません。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 江戸 | 富岡 | 慶長17年ごろ、代官中野七蔵の指導による集団移住で町屋が成立 |
| 江戸 | 富岡 | 元和2年(1616年)、七日市藩1万石の陣屋が置かれる |
| 明治 | 富岡 | 1872年、官営富岡製糸場が開設 |
| 昭和 | 富岡市 | 1954年、富岡町ほかが合併して市制施行 |
地名の特徴
富岡は、近世初頭に代官の主導で計画的に開かれた町です。既存の集落名を引き継いだのではなく、新しい町屋に対して名が付けられた点で、中世以前から続く地名とは成り立ちが異なります。
「富岡」という表記の地名は福島県富岡町など各地にありますが、それぞれ別個の由来をもつため、当地の由来を他所の例から推し量ることはできません。
特産・名物
富岡市は、世界遺産である富岡製糸場を擁する歴史的な街であり、古くから培われてきた伝統工芸品と豊かな自然が育む食文化が魅力です。
■ 富岡のシルク製品(絹織物) 富岡市の最大の特産品の一つは「シルク」関連商品です。養蚕農家と共に長年守り続けてきた技術を活かし、ネクタイやスカーフなどの衣料品から、美容液、石鹸といった日用品まで幅広いラインナップがあります。特に高品質な国産シルク製品は、富岡の歴史と職人技を感じさせる逸品です。
■ 妙義山麓の豊かな農産物 自然環境に恵まれた地域柄、新鮮で質の高い農産物が豊富です。特筆すべきは、妙義山麓で育つ「轟(とどろき)」ブランドのきのこ類です。香り高く肉厚な「轟まいたけ」や「轟生しいたけ」など、地元の環境が育んだ風味豊かなキノコが人気を集めています。また、健康志向の高まりを受け、緑黄色野菜を贅沢に使用した豆乳スープなどの加工食品も開発されています。
■ 地域に根差した味覚とスイーツ 富岡の食文化を支えるのが、地元の食材を使った伝統的な味覚です。例えば、1934年創業以来続くこだわりのあんこは、地元の人々に愛される銘菓の一つです。その他にも、スーパーフルーツとして注目されるドラゴンフルーツや、富岡国産純粋はちみつなど、季節の恵みを活かした食品が豊富に手に入ります。