語源
「太良」という地名は、奈良時代に編纂された『肥前国風土記』に「託羅郷」として記されたことが初出とされる。
伝承によれば、景行天皇がこの地を行幸した際、食べ物が豊かであることを見て「食物は豊に足りたり。豊足の村と謂うべし」と称えたとされ、この「たらい(豊足)」が転じて「たら」となり、後に「太良」の字が当てられたとされている。
「たら(足る・満ちる)」という言葉は豊かさを表す古語であり、有明海の恩恵を受けた豊かな自然が地名の語源に投影されている。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 古墳時代 | 豊足の村(たらいのむら) | 景行天皇の命名(伝承) |
| 奈良時代 | 託羅郷(たらごう) | 肥前国風土記に初出 |
| 中世〜近世 | 太良 | 「太良」の字が定着 |
| 1955年 | 太良町 | 太良村ほかの合併により町制施行 |
地名の特徴
太良町は佐賀県南部、有明海に面した藤津郡の町で、「月の引力が見える町」というキャッチコピーで知られる。日本最大の干満差(約6m)を誇る有明海の特性上、月の引力による潮の満ち干が実感できる地域である。
「食物が豊かに足りる」という景行天皇の言葉の通り、竹崎かに・竹崎カキ・海苔・みかんなど豊富な海山の幸が名産品として知られ、地名の語源が現在の産業・食文化にも生き続けている。
特産・名物
太良町の最も知られる特産品は、有明海で獲れる「竹崎かに」と「竹崎カキ」である。有明海の豊かなプランクトンを餌に育ったわたり蟹は身が詰まって甘みが強く、産地である竹崎の名を冠したブランドとして親しまれている。竹崎カキは11月から3月にかけて旬を迎え、濃厚な旨みが特徴である。
山側では「みかん」の栽培も盛んで、太良町は「みかん王国」とも呼ばれるほどの産地である。有明海の海苔も重要な特産物で、希少な一番摘みを厳選した「太良嶽(たらだけ)」ブランドがふるさと納税の返礼品として人気を集めている。食物の豊かさを讃えた古代の言葉が、そのまま現代の食文化にも生き続けている町である。