語源
熊取の地名は、町の案内によると、古くから伝説のなかでいろいろ伝えられているものの、基本的には自然の地形・地勢に由来すると考えられています。周囲を山地や丘陵に囲まれた谷、あるいは盆地のような地形を「クマドリ」された土地と見立てて名づけられた、という説明です。
また、町の紹介では、平安時代初期の『日本後紀』に桓武天皇が「熊取野」で遊猟したことが記されているとされ、古くからこの名が知られていたことがうかがえます。さらに、平安時代末期の後白河法皇の熊野詣にまつわる伝承や、鎌倉時代の「熊取荘」という荘園名も伝わっており、地名の古さを示しています。
一方で、町内の昔話には「熊取の由来」として、大熊・小熊という盗賊の親子を退治したことにちなむ説も残されています。これは民間伝承としての由来話で、地形由来説とあわせて語り継がれているものです。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 平安 | 熊取野 | 『日本後紀』に見えるとされる古称 |
| 鎌倉 | 熊取荘 | 荘園名として伝わる |
| 南北朝 | 雨山城・土丸城周辺 | 地域史の舞台として登場 |
| 江戸 | 熊取谷 | 岸和田藩に属した地域名として伝わる |
| 明治以降 | 熊取町 | 町名として定着 |
地名の特徴
熊取町は大阪府南部の泉南地域にあり、和泉山脈の山麓から大阪湾側の平野へとつながる地形を持ちます。こうした「山地と平野の境目」にある土地は、地名に地形を反映しやすく、熊取の名もその例と考えられます。
また、町内には「熊取の由来」をはじめ、寒旋業や七里地蔵など、地名や土地の記憶を伝える昔話が多く残っています。地名そのものだけでなく、周辺の小字や伝承地名も含めて、地域の歴史を今に伝える土地柄といえます。
特産・名物
熊取町では、若手農家グループ「わりかし若い百姓の会」が中心となって育てるひのひかり・にこまるが特産米として知られています。灯篭の担ぎ歌に「米はなーえ、熊取よ」と唄われたほど、古くから良質な米の産地として名高い土地です。
明治時代から発展してきたタオル産業も熊取町の重要な産業で、医療機関向けに開発された制菌性・消臭・吸水・速乾性を備えた「制菌タオル」は関西国際空港でも販売される人気商品です。また、泉南地域に共通する泉州水なすや泉州玉ねぎも町内で栽培されています。
ふるさと納税の返礼品には地元産米やタオルセット、泉州水なすの漬物と藍染め商品のセットなどが揃っています。