語源
「むつ」は、古代の令制国名である**陸奥(むつ)**にちなむ。陸奥国は本州北東部一帯を占めた広大な国で、明治初年の分割まで現在の青森・岩手・宮城・福島の各県域を含んでいた。
現在の市名は、地名として古くからこの土地を指してきたものではない。むつ市の「市のあゆみ」によれば、昭和34年(1959)9月1日に下北郡田名部町と大湊町が合併して「大湊田名部市」となり、翌昭和35年(1960)8月1日に「むつ市」へ改称した。青森県で8番目の市であり、この改称によって日本初のひらがな表記の市となった。
田名部・大湊いずれか一方の町名を採るのでも、両者を並べた「大湊田名部」を続けるのでもなく、両町を含む広域を指す古い国名が選び直された形である。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 古代 | 陸奥国 | 本州北東部一帯を占めた令制国。市名の拠りどころ |
| 昭和34年(1959) | 大湊田名部市 | 9月1日、下北郡田名部町と大湊町が合併。青森県8番目の市 |
| 昭和35年(1960) | むつ市 | 8月1日に改称。日本初のひらがな名の市となる |
地名の特徴
むつ市の名は、地名の付け方としては珍しい部類に入る。第一に、市域よりはるかに広い旧国名をそのまま一つの市が名乗ったこと。第二に、それを漢字ではなくひらがなで書いたことである。
ひらがな表記を選んだ理由を明記した公的な説明は確認できていないが、結果としてこの市名は全国初のひらがな市名という前例を作った。この後、平成の大合併期には各地でひらがな・カタカナの自治体名が生まれており、青森県内でも2005年につがる市が続いている。
特産・名物
むつ市は本州最北端の下北半島に位置し、陸奥湾や津軽海峡といった豊かな三方を海に囲まれています。この恵まれた自然環境が、多種多様な農林水産資源を生み出し、独自の食文化を育んでいます。
【海の幸】
- 陸奥湾産ホタテ: 栄養豊富なプランクトンを食べて育つため、ぷりっとした食感と甘さが特徴です。朝獲れた新鮮なほたては、急冷加工により本来の旨味が凝縮されており、刺身はもちろん、様々な料理に活用できます。
- 海峡サーモン・さば缶詰: 津軽海峡で育つ上質な脂を持つサーモンや、寒鯖を使用したさば缶詰が人気です。新鮮な魚介類をそのまま楽しむことができるため、贈答品としても高い評価を得ています。
【ブランド食材と工芸品】
- 下北牛: 希少種である「日本短角種」などを交配させ、本州最北端の下北地方の豊かな自然の中で放牧・肥育されたむつ市のブランド牛です。その旨味を最大限に引き出したハンバーグなどは、地元グルメとして知られています。
- 下北ワイン: むつ市産のブドウから造られるワインは、地域特有の気候風土が育んだ味わいが特徴です。また、青森県産の木材「青森ひば」は、その美しい木目からまな板や工芸品など、生活雑貨としても利用されています。