語源
「八戸(はちのへ)」の「戸(へ)」は、中世に糠部郡を区分した単位である。『デジタル大辞泉』は「鎌倉時代に、当時の糠部郡を一戸から九戸までに分けて統括したことからの名」と説明し、八戸はその八番目にあたる。
この区分は馬の生産と結びついていた。『改訂新版 世界大百科事典』は「南部氏は三戸に本拠を置き、郡内に一戸から九戸までの牧を設け軍馬の育成にあたったが、八戸はその一つである」と述べ、『日本大百科全書』も「南部氏は一戸から九戸までの九部(戸)制を採用した。八戸の地名は中世以来のもの」とする。
つまり「八戸」は、地形や動植物ではなく、中世の行政・牧場管理の区分番号がそのまま地名になったものである。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 鎌倉 | 八戸 | 糠部郡を一戸〜九戸に分けた区分の八番目。南部氏が郡内に牧を設け軍馬を育成した |
| 江戸 | 八戸 | 八戸藩の城下町として発展 |
| 昭和4年(1929) | 八戸市 | 5月1日、三戸郡八戸町・小中野町・湊町・鮫村が合併して市制施行 |
地名の特徴
「戸」を含む地名は八戸だけではない。一戸・二戸・九戸(岩手県)、三戸・五戸・六戸・七戸(青森県)と、岩手県北部から青森県南部にかけて連続して分布しており、旧糠部郡という広域のまとまりを今も地図の上に残している。
数字を冠した地名は全国に珍しくないが、この一群は単なる順番の名ではなく、中世の統治と馬産の制度そのものが地名として固定した例である。なお、九つの区分のうち「四戸」だけは自治体名として残っていない。
特産・名物
八戸市は三陸海岸に面し、豊かな海の幸と歴史的な文化が息づく街です。特筆すべきは、新鮮な魚介類を活かした食文化や、代々受け継がれる伝統行事など、多岐にわたる魅力があります。
【海産物・郷土料理】
- いちご煮(いちょに): 八戸の代表的な郷土料理であり、乳白色の潮汁に雲丹を浮かべたお吸い物がルーツです。「朝靄に霞む野いちご」のように見えることから名付けられ、漁師から親しまれてきた奥深い味わいが特徴です。
- サバ缶・あさり水煮: 脂がたっぷりと乗った肉厚なサバや、料理の素材として便利なあさりの水煮などの海産物缶詰は、八戸の豊かな海の恵みを日常に取り入れられる人気商品です。
- 天日生干しイカ: 三陸の風土が育んだ一本釣りイカを使った干物です。新鮮な魚介類を活かした加工品は、八戸の食文化を象徴する味の一つです。
【伝統と菓子】
- 八戸三社大祭: 神明宮・おがみ神社・長者山新羅神社の三社合同例大祭として開催される、地域最大の伝統行事です。ユネスコ無形文化遺産にも登録されており、その迫力ある山車は、八戸の歴史と信仰を今に伝えています。
- 南部煎餅: 八戸市を代表する銘菓の一つで、「チョコQ助」や「白いチョコQ助」など、新感覚の味わいを楽しめるおせんべいが人気です。
これらの特産品からは、海の恵みを最大限に活かした食文化が色濃く感じられます。