語源
「東京」は文字通り「東の京(みやこ)」を意味する。京都を「西の京」とした場合の「東の都」という対概念から命名された。
「東京」という語の先行例としては、江戸時代後期の学者佐藤信淵が著書『混同秘策』(1823年)において、江戸を「東京」と称する「三都」構想を提唱した記録がある。ただし当時は正式な名称として採用されるには至らなかった。
その後、明治維新の動乱のなかで、1868年(明治元年)7月17日に明治天皇の詔により「江戸ヲ称シテ東京ト為スノ詔書」が発せられ、「江戸」が正式に**「東京」**と改称された。詔の文面には「江戸ハ東国第一ノ大鎮、四方輻湊ノ地(中略)東京ト称スベシ」とあり、東国の中心地である江戸に「東京」の名が与えられた。
都名確定の経緯
「東京」の改称後、1869年(明治2年)に明治天皇が東京へ移座(行幸)し、以後東京が事実上の首都として機能するようになった。ただし当初は京都との「両都制」を想定した見解もあり、法制上は長く首都の明文規定が存在しなかった。
行政区分としては、1868年に東京府が設置され、1889年には東京市が誕生。1943年(昭和18年)には東京府・東京市が廃止されて東京都が設置され、府市一体の広域行政体制が確立された。
歴史的変遷
| 時代 | 区分・名称 | 備考 |
|---|---|---|
| 古代 | 武蔵国(むさしのくに) | 令制国。荏原郡などが現・東京都域に相当 |
| 1457年(室町) | 江戸城築城 | 太田道灌による築城 |
| 1590年(安土桃山) | 江戸 | 徳川家康が入府、城下町が発展 |
| 1603年(江戸) | 江戸幕府成立 | 幕府所在地として約270年間栄える |
| 1868年(明治元年) | 東京に改称 | 明治天皇の詔により「江戸」から改称 |
| 1868年 | 東京府設置 | 行政区画として東京府が成立 |
| 1943年(昭和18年) | 東京都設置 | 東京府・東京市を廃止し東京都が誕生 |
地名の特徴
「東京」という名称は方角(東)と都市の格(京)を組み合わせた、政治的・象徴的意味合いの強い地名である。「京(きょう)」は「みやこ」を意味する漢語で、日本では京都(本来の「京」)との対比で用いられた。
東アジアでは中国の「北京(ペキン)」「南京(ナンキン)」「東京(トンキン、現・ベトナムのハノイ近辺)」なども同様の命名パターンを持つ。日本の「東京」もこうした東アジアの地名命名慣習に倣ったものといえる。