語源
「岩手」の語源は大きく二つの説に分かれる。
地形由来説:岩手山は活火山であり、古代より溶岩流が押し出した岩石が周辺に堆積していた。この地形から「岩出(いわいで)」が「いわで」→「いわて」と転訛したとする説が有力とされる。「て(で)」は古語で「場所」を示す「と」が変化したものとも解釈され、「岩手」は「岩がちな場所」を意味することになる。
鬼の手形伝説説:盛岡市名須川町に鎮座する三ツ石神社に伝わる伝説による。かつて悪さをした羅刹鬼を三ツ石の神が懲らしめ、「二度とこの地に来ない」という誓いのしるしとして三つの巨石に手形を押させた。この「岩に押された手形」が「岩手」という地名の起源となったとされる。この伝説はさんさ踊りの起源とも結びついている。
県名確定の経緯
1869年(明治2年)の奥羽再建により、旧陸奥国のうち現在の岩手県域は陸中国として独立した。1871年(明治4年)の廃藩置県では一関県・盛岡県・胆沢県・江刺県・水沢県などが乱立したが、同年11月の統合を経て岩手県が成立した。県名は古代からの郡名「岩手郡」(現在の盛岡市・岩手郡周辺)に由来する。
歴史的変遷
| 時代 | 区分・名称 | 備考 |
|---|---|---|
| 律令期 | 陸奥国(むつのくに) | 東北地方全域を含む大国 |
| 鎌倉〜江戸 | 奥州 / 南部藩・仙台藩など | 南部氏が岩手郡周辺を支配 |
| 1869年(明治2年) | 陸中国 | 奥羽再建で陸奥国から分立 |
| 1871年(明治4年) | 岩手県 | 廃藩置県で成立、岩手郡の郡名を採用 |
地名の特徴
岩手県は面積で北海道に次ぐ日本第2位の広大な県である。「岩手」という地名は単なる行政名にとどまらず、岩手山・岩手川など県内各地の地名にも波及している。三ツ石伝説の舞台となった三ツ石神社では、毎年「さんさ踊り」が奉納され、鬼を追い払った喜びを表す踊りとして現代にも継承されている。