語源
牧之原市の「牧之原」は、この一帯に国の公営牧場である官牧が置かれたことに由来するとされます。のちに私牧も営まれ、台地に沿って北へ広がった牧地を指して「牧之原」と呼ぶようになった、という説明が見られます。
また、江戸期には牧之原台地北端の一部を「牧之原」と呼び、南側は「金谷原」と総称されていたとも伝えられます。『掛川誌稿』では、布を細長く引き伸ばしたような形から「布引原」とも呼ばれたとされ、地形や土地利用の変化と結びついた地名であることがうかがえます。
牧之原は、現在では大茶園の広がる牧之原台地全体を指す地名として定着しています。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 奈良 | 白羽牧 | 遠江に置かれた官牧の名とされる |
| 江戸 | 牧ノ原 / 金谷原 / 布引原 | 台地北端の一部を中心に呼称が用いられた |
| 明治 | 牧ノ原 | 士族入植と開拓の進展で呼称が広がる |
| 昭和 | 牧之原市 | 市制施行後の現行自治体名 |
地名の特徴
牧之原の地名は、牧場・原野・台地という土地の性格をよく表しています。静岡県中部の大井川下流から菊川にかけて広がる牧之原台地は、茶園地帯として知られ、地名と産業景観が強く結びついています。
同様に、古い牧場や原野に由来する地名は各地に見られますが、牧之原は官牧の歴史と明治期の開拓史が重なっている点に特徴があります。