語源
春日部市の地名「春日部(かすかべ)」の由来には、主に二つの説があります。
一つは、古代の「御名代部(みなしろべ)」に由来するという説で、春日山田皇女など春日の名を持つ皇后・皇女に仕える人々の集団名から「春日部」になったとするものです。
もう一つは、当地の地形や立地に由来するという説です。古くから大きな河川が流れ込む土地であり、「カス」「スカ」「カワベ」といった語が組み合わさって「かすかべ」になったと考えるものです。こちらは音や地形の特徴に着目した説で、川とともに暮らしてきた地域性を反映しているとされます。
なお、よく知られる春日部氏起源説については、春日部氏はもともと当地に来てからその名を名乗ったと考えられるため、地名の由来としては成り立たないとされています。したがって、春日部の地名由来は定説がなく、謎として残されています。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 南北朝 | 春日部郷 | 1336年の後醍醐天皇綸旨に見えるとされる |
| 戦国 | 糟ケ辺 / 糟壁 | 古文書に見える表記 |
| 江戸 | 糟壁 / 粕壁 | 宿場町として「粕壁」の表記が定着 |
| 明治 | 粕壁町 | 町村制施行後の町名 |
| 昭和 | 春日部町 | 1944年の合併で成立 |
| 昭和 | 春日部市 | 1954年の市制施行 |
地名の特徴
春日部は、古くは「春日部」と書かれ、その後「糟壁」「粕壁」などの表記が用いられました。現在は市域全体を指す場合に「春日部」、旧宿場町の区域などでは「粕壁」が併用されています。
同じ読みを持つ地名でも、時代によって表記が変化する例として興味深く、春日部市では歴史的な地名表記が今も地域名として残っています。市内の「粕壁地区」や「粕壁東」などは、その名残を示す代表例です。
特産・名物
春日部市を代表する特産品は、国指定の伝統的工芸品「春日部桐たんす」です。江戸時代、日光東照宮の造営に携わった工匠たちが桐の産地だったこの地に移り住んだことに始まり、昭和54年(1979年)に国の伝統的工芸品に指定されました。軽くて湿気や害虫に強い桐材を活かした美しい箪笥づくりの技術は、現在も職人によって受け継がれています。
春日部の伝統工芸は桐たんすだけにとどまりません。「押絵羽子板」は、桐板に布を使った立体感ある押絵で装飾した工芸品で、200を超える工程を経て手づくりされます。また「麦わら帽子」も市の特産品で、古くから米・麦の産地として栄えた土地柄を活かし、明治30年ごろから農家の副業として生産が始まりました。田中帽子店などの老舗が今日まで伝統を守り続けています。
ふるさと納税の返礼品では、職人手作りの桐の衣装箱・米びつといった桐工芸品や、麦わら製バッグ、地元農家が育てたキウイフルーツなどが提供されています。春日部の伝統工芸品を通じて、まちへの応援もできます。