語源
「嬉野」という地名は鎌倉時代の文書に「宇礼志野(うれしの)」として初出する。
語源については、万葉集に多くの用例がある「末」(端・末端・先端部を意味する古語)に、意味を強める助詞「し」と、草地・平原を意味する「野」を組み合わせた「末(うれ)し野」が転じたものとする説が有力とされている。塩田川の水源地帯に広がる末端の野原を指した地名と考えられている。
よく知られる「嬉(うれし)い野」という語呂合わせ的解釈は、地名「うれしの」が「嬉野」という漢字表記になった後に類推されたもので、本来の語源とは無関係とされている。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 鎌倉時代 | 宇礼志野(うれしの) | 文書に初出 |
| 江戸時代 | 嬉野 | 「嬉野」の漢字表記が定着。温泉地として繁栄 |
| 2006年 | 嬉野市 | 嬉野町と塩田町の合併により市制施行 |
地名の特徴
嬉野市は佐賀県南西部に位置し、「嬉野温泉」と「嬉野茶」の産地として広く知られる。「うれしい野」という語感が温泉地のイメージとよく合うため、観光地としての知名度も高い。
地名の語源は「末端の野」という地形的記述であるが、現在は「うれしい野」という意味で親しまれており、地名のもつ言葉の力が観光と文化に活かされている好例といえる。
特産・名物
嬉野市を代表する特産品は「うれしの茶」である。第78回全国茶品評会の蒸し製玉緑茶部門と釜炒り茶部門の2部門で産地賞1位を受賞するなど品評会での実績が高く、日本有数の銘茶産地として知られる。まろやかで深みのある味わいが特徴で、ふるさと納税の返礼品としても人気が高い。
温泉地としても名高い嬉野では「嬉野温泉湯どうふ」がご当地グルメとして知られ、温泉水でとろりと溶けたような食感の豆腐が名物となっている。陶磁器では「肥前吉田焼」が長い歴史を持つ焼き物産地として返礼品にも並ぶ。また佐賀牛もふるさと納税の主要返礼品として提供されている。