語源
美郷町は、2006年(平成18年)1月1日に東臼杵郡の南郷村・西郷村・北郷村が対等合併して誕生した町です。町名は合併に際して全国から公募され、東臼杵南部合併協議会が選定しました。
名の意味は「美しい自然の山々に囲まれたふる里」
協議会だより第5号(平成16年7月1日発行)は、名称候補6点それぞれの提案理由を載せています。「美郷町」の理由はこう書かれています。
美しい自然の山々に囲まれたふる里がいつまでも続くことをイメージした名称であるため。
つまり**「美しい郷(ふるさと)」を素直に読んだ瑞祥・地勢の名**です。
旧3村の「郷」を集めた名ではない
南郷・西郷・北郷と3村がそろって「郷」を持つため、その3つの郷を「美郷」が受けたという説明がしばしば見られますが、協議会の資料にそうした記述はありません。 提案理由は上に引いたとおり、山々に囲まれた美しいふる里を言うものです。
むしろ、合併そのものを名の中身にした候補は別に存在し、そちらは選ばれませんでした。 同じ第5号が挙げる6候補と理由は次のとおりです。
| 候補 | 提案理由 |
|---|---|
| あけぼの町 | 山村に朝日が昇るすがすがしい様子を思い、新しい自治体の将来に夢を託し、発展していくまちとしたいため |
| 入郷町 | 古くから入郷地域と呼ばれており、4村以外の人々でも、既に知られている地域であるため、親しみが持て、受け入れられやすいため |
| 新郷町 | 4村が合併して、新しいまちとなるため |
| 美郷町 | 美しい自然の山々に囲まれたふる里がいつまでも続くことをイメージした名称であるため |
| 杜郷町 | 豊かな森林資源をイメージしており、入郷地域と呼ばれているため |
| 美山町 | 杉と広葉樹に覆われた美しい山々に囲まれており、すべての人々が覚えやすい名称であるため |
「4村が合併して」を理由とするのは**「新郷町」**であり、美郷町ではありません。
選定の手続き
協議会だより第7号(平成16年9月発行)は、名称の選定方法をこう定めています。候補6点から協議会委員全員の無記名投票で得票の多い3点に絞り、その3点からあらためて委員全員の投票で1点を決める。得票が過半数に達しない場合は上位2点で決選投票を行い、同数のときは応募者数の多いほうを優先する、という二段構えです。
第9号(平成16年11月発行)によれば、平成16年10月8日の第10回協議会総会で候補6点から協議会委員全員の投票が行われ、新しいまちの名称は**「美郷町」に決定しました。名称の募集には全国から971点**の応募が寄せられています。
なお協議会は当初、諸塚村を加えた4村で構成されていました(「新郷町」の提案理由が「4村」と書くのはこのためです)。最終的に合併したのは南郷・西郷・北郷の3村で、諸塚村は単独で存続しています。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 明治 | 南郷村・西郷村・北郷村 | 町村制施行により成立 |
| 昭和 | 南郷村・西郷村・北郷村 | 東臼杵郡南部の3村として存続 |
| 平成 | 美郷町 | 2004年10月8日に新町名を決定、2006年1月1日に3村が対等合併 |
地名の特徴
美郷町は、旧3村を区別していた「南・西・北」を引き継がず、土地の姿を言う語を当てた町名です。3村に共通する「郷」の字は町名にも含まれますが、協議会が記した提案理由は上に引いたとおり「美しい自然の山々に囲まれたふる里」であり、3村の郷を受けたとは書かれていません。町域には耳川・五十鈴川・小丸川が流れ、面積の大部分を森林が占めます。「美しい自然の山々に囲まれたふる里」という提案理由は、この地勢をそのまま述べたものです。
町名は継承していない一方で、旧村名は住所の中で現役です。宮崎県の案内によれば、合併に伴って大字の記載が廃され、地域自治区の名を冠する形に改められました(「東臼杵郡南郷村大字神門〇〇番地」→「東臼杵郡美郷町南郷区神門〇〇番地」)。町名からは消えた南郷・西郷・北郷という村名が、住所の中には残っています。
平成の大合併では、旧自治体名の一字を組み合わせる合成地名が各地で生まれました。美郷町はその型ではなく、旧村名を組み合わせるのではなく、土地の姿を言う語を新たに立てた例にあたります。
特産・名物
宮崎県北部に位置する美郷町は、町の面積の約 92%が山林という自然豊かな環境に恵まれています。朝晩の寒暖差を活かした農業が盛んであり、以下の特産品が知られています。
- 美郷栗:山間地での栽培により大粒で甘みのある「美郷栗」が生産されています。加工品として栗きんとんやどら焼きなどに使われ、ふるさと納税の返礼品としても人気があります。
- 完熟きんかん(たまたま):完熟した甘味豊かな「たまたま」という品種の金柑が特産です。そのまま食べる他、甘露煮などの加工品として多く提供されています。
- 畜産物:宮崎県を代表する宮崎牛や豚肉、若鶏など新鮮な肉類も生産されています。真空包装による鮮度保持で、健康志向の方にも選ばれています。