語源
「美郷(みさと)」は、2004年(平成16年)11月1日の千畑町・六郷町・仙南村の合併にあたり、公募で寄せられた案から選ばれた名である。
名の意味について、今回確認した合併協議会の会議録・協議会だより・経過資料の範囲では、協議会が公式の選定理由を示した記述は見当たらない。名称を決めた第9回協議会では、委員から「美しい故郷というイメージからして、最も我々3町村には適した名前」、「美しい郷の『美郷』という名前がふさわしい」といった発言が相次いだ。委員によれば、「美郷」の応募理由には、3町村が仲良く、3つが新しいスタートをきるという趣旨のものが多く見られたという。
町名の由来(命名の経緯)
2003年(平成15年)4月17日の第3回協議会で、新町の名称は公募で決めることが確認された。公募は6月2日から8月22日まで行われ、応募総数は2,828通(有効2,714通、1,117種類)にのぼった。有効応募の地区別内訳は、千畑町492通、六郷町517通、仙南村482通、3町村以外の秋田県内387通、それ以外836通である。
8月21日の第7回協議会では、選定の基準と方法が決まった。基準は、①読みやすく書きやすいこと、②なじみやすく親しみやすいことの両方を満たし、さらに③地域の地理的なイメージができること、④地域の歴史・文化・特性等を表していること、⑤地域住民の理想や願いにちなんでいること、⑥その他新町の名称としてふさわしいこと、のいずれか1つ以上に当たることとされた。応募数については、選考の際の参考に留めることとされた。
9月18日の第8回協議会(六郷町の名水市場湧太郎)では、委員21名が応募作品の中から各3作品以内を選び、「美郷町」「奥羽町」「三郷町」「瑞穂町」などのほか、既存の「千畑町」「六郷町」「仙南町」を含む31作品が挙がった。ここで、既存の町村名を候補から外すべきかが議論になった。対等合併で新しい町をつくるのだから新しい名前にすべきだという意見と、地名にはそれぞれ歴史・文化があり一方的に外すべきではないという意見が対立した。最終的に、既存の3つを候補に入れたうえで、残る2点を委員1人1名称の投票で選ぶことになった。結果は「美郷」15票、「奥羽」3票、「せんぼく」「仙郷」「美田園」各1票で、第二次選定の候補は「千畑町」「六郷町」「仙南町」「美郷町」「奥羽町」の5点となった。
10月16日の第9回協議会(仙南村公民館)では、この5点から1点を選ぶにあたり、委員が1人ずつ意見を述べた。「奥羽」については、奥羽地方全体を指す名であり町の名前としては大きすぎるという意見が出された。一方、「六郷町」を推す意見もあった。小西委員は、観光客が訪れる「六郷町」のブランドを捨てるわけにはいかないこと、約2,800の応募のうち約1割が「六郷町」を選んでいることを挙げた。また、六郷町を訪れた県外の観光客約200名に「美郷町」の読みを書いてもらったところ、「みさとちょう」と読んだのは2名だけで、「びきょうちょう」が多かったと報告している。
意見を整理した議長(坂本六郷町長)によれば、「美郷」を推す委員が13名、「美郷」か「奥羽」とする委員が3名、「六郷」を推す委員が2名であった。委員の多くは、投票による多数決ではなく、話し合いのうえで全員が納得する形で決めることを求めていた。議長は、自身も六郷出身で苦渋の選択としつつ、合併を成立させる意義を重んじて「美郷」を協議案件とすることを諮った。読み方は、県外の人は「ちょう」と呼ぶことが多い、響きがよいといった意見から「ちょう」とされた。こうして協議第52号「新町の名称は美郷町(みさとちょう)とする」が追加提案され、協議会は最終的に全会一致で美郷とすることを決めた。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 明治24年(1891) | 六郷町 | 7月、町制施行 |
| 昭和30年(1955) | 千畑村 | 3月、千屋村と畑屋村が合併して誕生。翌年、畑屋の一部(鑓田地域)が六郷町に編入 |
| 昭和31年(1956) | 仙南村 | 9月、飯詰村と金沢西根村が合併して誕生。昭和33年4月、横手市金沢地区の一部が分市合併 |
| 昭和61年(1986) | 千畑町 | 3月、町制施行 |
| 合併前 | 千畑町・六郷町・仙南村 | 合併前の自治体 |
| 平成16年(2004) | 美郷町 | 11月1日、千畑町・六郷町・仙南村を廃して新設合併 |
地名の特徴
美郷町の名は、既存の地名を採ったものではなく、公募作品から選ばれた新しい名である。第一次選定に挙がった31作品には、「美郷」のほか「羽後美郷」「三郷」「清郷」「仙郷」「夢里」のように「郷」や「さと」を含む名が多く並んでいた。
「美郷」は旧町村名のいずれとも異なる名だが、「郷」の字は旧町名の「六郷」と共通する。第9回協議会では、六郷町の「郷」が入っていることについて、仙南村と千畑町には思うところのある人が若干いるようだとしつつ、美しい自然だけでなく心も含めた「美しい故郷」への住民の願いがこもった名だと受け止める委員の発言があった。
特産・名物
美郷町は、湧水が114ヶ所も存在する「名水百選」に選ばれるほど豊かな水源を持つ地域です。この良質な水資源を活かした特産品や、秋田の恵みを受けた農産物が豊富です。
【主要な特産品】
- 高品質な米(あきたこまち・サキホコレ):美郷町は、ブランド力のある「あきたこまち」をはじめ、「サキホコレ」などの特別栽培米を生産しています。これらの米は、豊かな水と気候に恵まれ、白米から栄養価の高い玄米まで、多様な形で食卓を彩ります。
- 名水の利用製品(和菓子・サイダー):町の名水は、伝統的なサイダーや、葛粉を使った「名水まんじゅう」「葛氷菓」といった和菓子など、様々な加工品に活用されています。良質な水がもたらす優しい風味と味わいが特徴です。
- 白色ラベンダー「美郷雪華(みさとせっか)」:町を代表する花の一つが、オリジナル品種の白色ラベンダー「美郷雪華」です。この美しい花は、町の景観や特産品としても注目を集めています。