語源
「熊本」の地名は、南北朝時代(14世紀後半)の文献に「隈本」として初めて現れる。
「隈本」の語源については複数の説がある。最も有力なのは地形由来説で、「隈(くま)」は低地と高地が入り組んだ地形や、川が曲がりくねって蛇行する様子を指す古語であり、白川のほとりの地形を表したものとする説である。「もと」は「中心地」「そのそば」を意味する。他に「崖下の湿地」を意味するとする説もある。
1607年(慶長12年)、加藤清正が新たに熊本城を築いた際、「隈」の字に含まれる「畏(かしこまる・おそれる)」という意味の部首を嫌い、より力強い「熊」の字に改めた。武将らしい強さのイメージを地名に持たせた改字と言える。
歴史的変遷
| 時代 | 記録・出来事 |
|---|---|
| 南北朝時代 | 「隈本」として文献に初登場 |
| 1607年 | 加藤清正が熊本城を築城、「隈本」を「熊本」に改字 |
| 江戸時代 | 細川氏が肥後熊本藩を治める |
| 1871年 | 廃藩置県により熊本県が成立 |
| 1889年 | 市制施行により熊本市が誕生 |
| 2012年 | 政令指定都市に移行 |
地名の特徴
「隈本」から「熊本」への改字は、加藤清正という武将の意志が直接地名に反映された珍しい事例である。白川・坪井川が流れる低湿地と台地が複雑に入り組む地形が「隈(くま)」という古語で表現されており、現在も「熊本城」(別名・銀杏城)とともに「熊本」の名が九州の中心都市として広く知られる。