語源
指宿の地名は、古くは「湯豊宿(ゆほすき)」と呼ばれたことに由来すると考えられています。『和名類聚抄』には「以夫須岐(いふすき)」と記されており、指宿市の資料では、周辺に「湯」の付く小字が多いことから、もとの意味は「湯生村(ユフスキ)」のような温泉に関わる地名だった可能性が示されています。
その後、和銅6年(713)の「諸国郡郷名著好字令」の影響で、意味を保ちながらも好字の「宿」が当てられ、「指宿」という表記になったとされています。戦国時代の板碑に見える「湯豊宿(ユブスキ)」の表記も、古い地名の姿をうかがわせる例です。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 奈良 | 以夫須岐 | 『和名類聚抄』に見える表記。 |
| 平安 | 宿 | 『延喜式』に初出とされる表記。 |
| 不明 | 湯豊宿 | 温泉地由来を示す古い表記として伝わる。 |
| 室町 | 湯豊宿(ユブスキ) | 天文12年(1543)の板碑に見える表記。 |
| 昭和 | 指宿町 | 1954年に指宿町と今和泉村が合併。 |
| 平成 | 指宿市 | 2006年に旧指宿市・山川町・開聞町が合併し新設。 |
地名の特徴
指宿市の地名は、温泉地としての性格を強く反映しています。市内には「湯」の付く小字が多く、古くから湯に関わる土地として認識されていたことがうかがえます。
また、市内の大字には、池田・山川成川・山川小川・開聞川尻など、池・川・山・海岸地形に由来するものが多く見られます。指宿の地名は、温泉と海岸・湖沼・山地が近接する土地柄をよく表しています。