語源
潮来市の地名は、古くは板来・板久などと記され、『常陸国風土記』では「伊多久」の郷と見えます。
同書では、建借間命の東征に際して国栖の首領が激しく抵抗し、「痛く殺す」ところから「伊多久」と呼ばれた、という由来が伝えられています。
また、潮来は霞ヶ浦・北浦水系に連なる水郷の要地で、古くから交通の要衝でした。地名の成立には、こうした水辺の地勢と、古代の伝承が重なっていると考えられます。
現在の「潮来」という表記は、元禄11年(1698年)に水戸藩主徳川光圀の命で潮来村へ改称されたことに由来します。以後、この表記が定着しました。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 古代 | 伊多久 | 『常陸国風土記』に見える表記 |
| 古代〜中世 | 板来・板久 | 史料上の表記として伝わる |
| 江戸 | 潮来村 | 元禄11年(1698年)、徳川光圀の命で改称 |
| 近代・現代 | 潮来市 | 市制施行後の現行名称 |
地名の特徴
潮来は「水郷潮来」として知られ、川や湖沼に囲まれた低湿地の景観と結びついた地名です。
同じく『常陸国風土記』に由来を持つ地名としては、茨城県内の古代地名に多くの例があり、潮来もその一つとして古層の地名伝承を今に伝えています。
また、古くから往還や舟運の要地であったことから、地名の歴史は地域の交通・流通の歴史とも深く関わっています。