語源
養父は、大変古くから使われている地名です。奈良時代、天平9年(737年)に書かれた『但馬国正税帳』には「養父郡養父神」の文字があり、霊亀3年(717年)以前に成立した『播磨国風土記』では「夜夫郡」という表記が用いられています。平城宮跡から出土した木簡にも「但馬国養父郡老佐郷」と記されており、天平勝宝7年(755年)に小佐の住民が奈良へ赤米を送ったことがわかります。
「やぶ」という音が何を指すのかについて、養父市教育委員会は次のように推定しています。現在「やぶ」を含む地名や施設は、養父市場・大薮・薮崎・養父神社・養父小学校など、円山川の付近に集まっている。漢字を見るとススキや草木が繁る「薮」を示す字も使われている。したがって**「やぶ」は円山川の景観を表した地名であると推定される**、というものです。
なお、『和名類聚抄』によれば平安時代の養父郡は10の郷から成り、その一つが「養父」でした。
肥前国の「養父」との違い
肥前国(現在の佐賀県)にも養父郡養父郷があり、『肥前国風土記』は犬が吠えるのをやめたので「やぶ」となったと伝えています。ただしこれは別の国の同名地についての説話であり、但馬の養父の由来を説明するものではありません。混同しないよう注意が必要です。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 奈良 | 夜夫郡 | 『播磨国風土記』(717年以前)の表記 |
| 奈良 | 養父郡養父神 | 『但馬国正税帳』(737年)の表記 |
| 平安 | 養父郷 | 『和名類聚抄』で養父郡10郷の一つ |
地名の特徴
表記は「夜夫」から「養父」へと変わりましたが、いずれも「やぶ」という音を漢字で写したものであり、字面の意味(父を養う)は由来と関係がありません。奈良時代から千年以上、音を変えずに伝わってきた地名です。
特産・名物
養父市は、豊かな自然環境と歴史に育まれた地域資源を活かした多様な特産品が魅力です。特に「但馬太田牛」「朝倉さんしょ」をはじめとするブランド食材や、こだわりのお米などが知られています。
【但馬 太田牛】 養父市を代表するブランド和牛の一つです。但馬の大自然の中、澄んだ水と空気、独自の飼料管理のもとで丹精込めて育てられています。特に自社ブランドの「但馬太田牛」は、全国でも稀有な品質を誇り、ふるさと納税では養父市限定で提供されるなど、高い人気を集めています。
【朝倉さんしょ(実山椒)】 養父市の地名に由来する、ひときわ香り高い地域ブランドの山椒です。400年以上の歴史を持つ「たじま生まれ」の山椒として知られ、他の山椒にはない柑橘系の爽やかな香りが特徴です。
【八鹿豚米】 養父市内で育てられるこだわりの玄米です。「寺田さん家の八鹿豚米」は、八鹿豚の堆肥のみを使用し、化学肥料や農薬の使用を極力控えて栽培されています。一粒一粒がしっかりとしており、甘みのある味わいが特長で、素材の良さを大切にしたい方におすすめのお米です。
【養父ブランド調味料】 地域資源を活かした加工品も豊富です。「但馬の純米酢」や「但馬のゆずぽん酢」など、地元の恵みを凝縮した調味料は、食卓を彩る逸品として親しまれています。