🗾 地名由来辞典

伊丹市 ( いたみし )

兵庫県 / 伊丹市 不明時代由来

AI生成・人間確認済み

伊丹の語源には斎田並(イタナミ)説・板上(イタカミ)説・絲海(イトウミ)説などがありますが、『川辺郡誌』が「諸説区々にして信を置くに足るもの無く」と記すとおり定説はありません。文献上は治承4年(1180)の『山槐記』に「伊多美」と見えるのが初見で、中世の伊丹庄、近世の伊丹郷町、明治の伊丹町と受け継がれて市名となりました。

語源

伊丹(いたみ)の語源には定説がありません。『川辺郡誌(かわべぐんし)』(大正3年)は諸説を並べたうえで、「其の起源につき諸説区々(まちまち)にして信を置くに足るもの無く、要するに『イタミ』の名は最も古きに有りしを後世に至り、種々の説を駙會(ふかい)せしなり」と結んでいます。地名そのものは古く、説のほうが後から付けられたという見立てです。

主な説は次のとおりです。

ただし、近世の地元史料自身がこれらのうち2説を否定しています。 『有岡古続語(こぞくご)』が引く『有岡むかし語』(1700年代末・西谷午贏)は、「糸海」「丹丘」「伊水」といった表記は俳諧の盛んな土地で風流を競って作られた当て字であって「むかしより此名ありしにもあらす」と述べ、板上説についても「これとてもしかと証拠なし」と退けています。にもかかわらず、これを引用した梶曲阜(かじきょくふ)が「糸海」「糸績」説を断定的に書き、それを『川辺郡誌』が引いたため、以後も説として生き続けました(大国正美)。

説の中身は分かれますが、多くは武庫川と猪名川にはさまれた沖積地・段丘という、猪名野(いなの)として早くから開けた土地の成り立ちに由来を求めています。このほか、イタミを崩れやすい地形を指す語とみる説も紹介されています。

文献上の初見

「いたみ」の文献上の初見は、治承4年(1180)の『山槐記(さんかいき)』(権中納言中山忠親の日記)です。摂津国豊島(てしま)の故義貞の子が宅を焼いて出奔し、これを 伊多美武者所 某が山科まで追った、という伝聞が記されています。武者所(むしゃどころ)とは院や摂関家に置かれた警固の武士(およびその詰所)のことで、「伊多美」はその武士の名字にあたります。

『伊丹市史』はこの記事を「伊丹という固有名詞の文献上の初見史料」と位置づけ、当時「伊丹」を名字とする武士がこのあたりにいたことを証するものと述べています。初見が人名(名字)の形で現れることは、地名が人名に由来することを意味しません。 中世の名字は在地の地名から取るのが通例で、伊丹氏の系図も摂津国河辺郡の伊丹庄を名字の地としています。

この点は『川辺郡誌』も明確に否定しています。同書は、鎌倉幕府から当地に封ぜられた加藤景廉の七代の孫・景親が氏を伊丹と称したことを「伊丹の文字の出でし始め」とする説を紹介したうえで、それより約500年さかのぼる聖武天皇の時代の荘園に「津の国河辺の郡御園(みその)の莊伊丹の郷」とあることを挙げ、「伊丹兵庫頭を以て字の起こりといふは当たらず」と述べています。つまり地名が先にあり、それを名乗った武士の記録がたまたま最初に残ったというのが史料に即した理解です。

地名そのものとしては、嘉元元年(1303)に多田院へ田地を寄進した文書に「摂津国伊舟村」と見えるのが村名の初見とされます。

歴史的変遷

時代呼称備考
平安末伊多美治承4年(1180)『山槐記』の「伊多美武者所」。伊丹を名字とする武士の存在を示す、文献上の初見
鎌倉伊舟/伊丹嘉元元年(1303)の多田院への寄進状に「摂津国伊舟村」。村名としての初見
室町〜戦国伊丹(有岡)伊丹氏が伊丹城を構え、表記が定着。のち荒木村重の有岡城となる
江戸伊丹郷町酒造業が興り、寛文のはじめ(1661年ごろ)近衛家の釆邑(さいゆう)となって繁栄
明治伊丹町明治22年(1889)4月1日、町村制施行により川辺郡伊丹町が発足
昭和伊丹市昭和15年(1940)11月10日、伊丹町と稲野村が合併して市制施行

地名の特徴

伊丹の名は、中世の伊丹庄・伊丹村から近世の伊丹郷町、明治の伊丹町へと同じ文字列のまま受け継がれ、昭和15年の市制施行でそのまま市名となりました。語源をめぐる諸説は古代の土地の姿にさかのぼるものですが、市名そのものは近世以来の町名を継承したものです。

イタナミ(斎田並)説が 灘 との対比で組み立てられているように、伊丹の地名は猪名野(いなの)・灘といった阪神間の古い地名群と並べて論じられてきました。「田」「並」「斎田」といった農耕・開発を示す要素を読み取る説は、猪名川流域が弥生時代以来の稲作地帯であったことと響き合います。

特産・名物

伊丹市は、酒造業が古くから栄えた「日本酒」の銘醸地であり、豊かな自然と都会的な利便性が融合した街です。特筆すべき地域資源や特産品として、以下のものが挙げられます。

参考資料・出典

最終更新: 2026-09-21