語源
下呂市の「下呂」は、古代の駅家名とされる下留に由来すると伝えられます。『続日本紀』宝亀7年(776年)の条に、飛騨国と美濃国の間に置かれた駅として「下留」が見え、これが「げる」「げろ」へ転じたという説明が市の観光案内や郷土史資料で示されています。
また、下呂温泉には白鷺が傷を癒やして源泉を知らせたという白鷺伝説があり、地名と温泉の名声が結びついて広まりました。地名そのものの由来は駅家名に求められますが、温泉伝説が地域名の印象を強く形づくっています。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 奈良 | 下留 | 『続日本紀』に見える駅家名とされる |
| 平安 | 下留・下呂 | 読みの変化が進んだと考えられる |
| 鎌倉 | 下呂 | 温泉の再発見伝承とともに定着 |
| 室町 | 湯島(下呂) | 文人の紀行文で名湯として紹介 |
| 江戸 | 飛騨の湯島(下呂) | 林羅山が有馬・草津と並ぶ名泉と評価 |
| 明治以降 | 下呂 | 町名・市名として広く定着 |
地名の特徴
下呂市の地名は、飛騨川流域の交通の要衝としての歴史と、温泉地としての知名度が重なって広まった点に特徴があります。周辺には「上呂」「中呂」など、同じく古い駅家・地名の系譜を思わせる地名が残っており、古代交通路との関係をうかがわせます。
また、下呂温泉は「天下の三名泉」の一つとして知られ、地名の認知度を全国的に高めました。地名由来としては駅家名に基づく説が有力で、温泉伝説はその後の地域イメージを補強したものといえます。