語源
「滋賀(しが)」の地名の語源については複数の説が伝わる。最も有力な説は「シカ(石処)」説で、琵琶湖畔の「石の多い場所」を意味する古語が地名の起源とするものである。もう一つの有力説は「スカ(砂処・州処)」の転訛とするもので、湖岸の砂地・洲の地形を指すと解釈される。
「しが」という地名は、古代から音として伝承された小地名または地域名であり、漢字表記は後代に当て字されたものとされる。そのため史料によって「志賀」「思賀」「滋賀」などさまざまな表記が存在する。律令制下では「滋賀郡(しがのこおり)」として近江国内に記録されており、現在の大津市北部付近がその郡域にあたる。
県名確定の経緯
1871年(明治4年)の廃藩置県では、大津に県庁が置かれて「大津県」として発足した。しかし翌1872年(明治5年)1月、庁舎が滋賀郡別所村の**円満院(えんまんいん)**に置かれていることなどを理由として、郡名にちなんで「滋賀県」へと改称された。
なお、旧幕府の代官所が置かれていた「大津」という地名は「愚民が旧習を捨てて開化に進む障害になる」として改称を求める声もあったとされ、これも改称の背景の一つとなった。
歴史的変遷
| 時代 | 区分・名称 | 備考 |
|---|---|---|
| 律令期 | 近江国成立 | 「近つ淡海」略称。琵琶湖を「淡水の海」と呼んだ |
| 律令期 | 滋賀郡(しがのこおり) | 近江国内の郡として記録。現在の大津市北部付近 |
| 江戸時代 | 近江国 / 各藩・幕府直轄地 | 彦根藩(井伊家)など複数の藩が分立 |
| 1871年(明治4年) | 大津県成立 | 廃藩置県で大津に県庁を設置 |
| 1872年(明治5年) | 滋賀県に改称 | 県庁所在地の郡名「滋賀郡」から命名 |
| 1876年(明治9年) | 福井嶺南を一時管轄 | 敦賀県廃止に伴い嶺南四郡を編入(1881年に返還) |
地名の特徴
滋賀県は県名の由来となった「滋賀郡」が現在の大津市北部に位置する一方、県庁所在地は大津市であり、旧来の「大津」という地名が広く知られている。また近江国という旧国名も「近江牛」「近江商人」などの形で現在も地域ブランドとして生きており、旧国名のほうが「滋賀」よりも全国的に知名度が高いという珍しい例の一つとなっている。