語源
「大阪(おおさか)」の地名は、室町時代に現在の大阪市付近を「小坂(おざか)」と呼んでいたことに始まる。「坂(さか)」は傾斜地・坂道を意味し、上町台地の縁辺部に坂が多かった地形を反映した名称だった。
室町時代の僧侶**蓮如(れんにょ)**が1496年(明応5年)頃、石山(現在の大阪城のある台地)に坊舎を建てた際に、「小(おざか)」より「大(おおさか)」のほうが縁起がよいとして「大坂」と改称したとされる。蓮如の御文章(おふみ)に「攝州東成郡生玉之庄内大坂」と記したのが文献上の「大坂」の初出とされる。
江戸時代には「大坂」が正式表記だったが、「坂」を分解すると「土に返る(=死ぬ)」という縁起の悪い意味に読めるとして忌まれることがあり、「阪」が好まれる場合もあった。1868年(明治元年)に大阪府が設置された際の公印に「阪」の字が使われ、明治20年頃までに「大阪」への表記が統一された。
府名確定の経緯
1868年(明治元年)、明治政府は大坂に「大阪府」を設置した。京都・東京とともに旧幕府の三大都市(三都)として「府」という特別な行政区分が与えられた。
1869年(明治2年)の太政官布告で「東京・大阪・京都以外は府と呼ばない」と定められ、大阪は経済の中心都市として三府の一つに位置づけられた。
歴史的変遷
| 時代 | 区分・名称 | 備考 |
|---|---|---|
| 古代 | 難波(なにわ) | 古代から「なにわ」として知られ、難波宮も置かれた |
| 律令期 | 摂津国・河内国・和泉国成立 | 畿内に属す三国 |
| 1496年頃(明応5年) | 大坂(おおさか)初出 | 蓮如が「小坂」を「大坂」と改称 |
| 江戸時代 | 天下の台所 | 豊臣秀吉の大坂城下として発展。幕府直轄の経済都市 |
| 1868年(明治元年) | 大阪府成立 | 明治政府が旧幕府直轄地を「大阪府」として接収 |
| 明治20年頃 | 「大阪」表記に統一 | 「坂」から「阪」への改字が定着 |
地名の特徴
「大阪」という表記は「大坂」から「土に返る」を嫌って字を改めた歴史を持つ。「難波(なにわ)」という古称のほうが歴史的には古く、現在も「なにわ」という名は大阪を象徴する愛称として広く親しまれている。京都・東京と並ぶ「府」という行政区分は、現在も大阪の特別な地位を示す名称として受け継がれている。