語源
田辺は、平安時代の文献にすでに見える古い地名です。『水左記』承暦4年(1080年)条に「田辺」とあり、その後も「田之陪」「田部」などの表記が見られます。
語源の確定説はありませんが、一般には「田のある辺り」「田地の周辺」といった、土地のあり方を表す地名と考えられます。日本姓氏語源辞典でも、和歌山県田辺市発祥の地名として紹介されており、地形・土地利用に関わる名とみるのが自然です。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 平安 | 田辺・田之陪・田部 | 熊野参詣記録などに散見する表記 |
| 室町 | 田辺庄 | 熊野社領として成立 |
| 江戸 | 田辺町 | 慶長11年(1606年)に城下町として整備 |
| 昭和 | 田辺市 | 市制施行後の名称 |
| 平成 | 田辺市 | 2005年の合併後も市名を継承 |
地名の特徴
田辺市は熊野街道の中辺路・大辺路の分岐点にあたり、田辺湾に面する港町としても発展しました。地名としての「田辺」は、同じく「田辺」を名乗る各地の姓や地名の基点にもなっており、和歌山県の田辺が代表的な発祥地の一つとされています。
また、旧田辺町を核として城下町が形成されたことから、古い地名と近世の都市形成が重なって残った例としても特徴的です。