語源
「松江」の地名は、慶長16年(1611年)に堀尾氏が松江城天守を完成させ城下町を開いた際に命名されたとされる。
最も有力な説は、唐代中国(現在の上海地域)の松江府(呉淞江)に由来するというものである。中国の松江は鱸と蓴菜の産地として名高く、当地も同様の産物が豊富だったことから、この名が与えられたと伝えられる。
命名者については堀尾吉晴・堀尾忠氏・小瀬甫庵・春龍和尚・南華和尚など諸説あり、定説は確立していない。なお、天文3年(1534年)の文献「出雲紀行」に「松江の府」との記載があり、築城以前から「松江」という名称が存在していた可能性も指摘されている。
歴史的変遷
| 時代 | 記録・出来事 |
|---|---|
| 古代〜中世 | 白潟(意宇郡)・末次(島根郡)の二郷として存在 |
| 1534年 | 「出雲紀行」に「松江の府」の記載 |
| 1608年 | 「松江村」「松江越」の表記が文書に登場 |
| 1611年 | 松江城天守完成、堀尾氏が「松江」として城下町を正式に開府 |
| 1889年(明治22年) | 松江市として市制施行 |
| 2005年 | 周辺7町1村と合併し、現在の松江市の規模に |
地名の特徴
中国の地名を日本の城下町に当てはめる命名は、当時の文化人・武将の間で流行した漢籍趣味の反映とも言える。大橋川を挟んで南北に広がる水郷地帯を持つ松江の地形は、水辺の都市である中国松江府との類似を感じさせる。小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が愛した城下町として、現在も「水の都」として知られる。
特産・名物
松江市を代表する特産品は、宍道湖産の大和蜆である。全国有数の漁獲量を誇り、旨み成分(コハク酸・グルタミン酸)が豊富なことで知られる。宍道湖はシジミをはじめ、鱸・鰻・鯉など「宍道湖七珍」と呼ばれる七種の魚介が揚がり、松江の食文化の根幹をなす。
松江は京都・金沢と並ぶ「日本三大菓子処」のひとつとされ、江戸時代の松平不昧公(松平治郷)が茶道振興に力を入れたことで和菓子文化が育まれた。若草・山川・菜種の里など、茶席で供される銘菓が数多く今日に伝わる。また、飛魚(アゴ)を原料とした練り物「あご野焼き」は島根県を代表する名物で、松江でも広く親しまれている。
ふるさと納税の返礼品としては、宍道湖産ヤマトシジミ・しまね和牛・のどぐろ・地酒(李白酒造などの銘酒)・松江銘菓などが人気を集める。