語源
「さいたま」の地名は、飛鳥時代の史料に登場する「前玉」にさかのぼる。「さき」は「先・岬」すなわち突き出た場所を、「たま」は「溜まる」すなわち水が集まる場所を意味し、合わせて「湿地帯の端」や「水辺のそば」を表す地形由来の地名である。
万葉集には「前玉之小埼乃沼(さきたまのおさきのぬま)」という表現が見られ、古代からこの一帯が湿地帯であったことが裏付けられる。その後、「前玉」から「埼玉(さいたま)」へと表記が変化し、郡名として定着した。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称・区分 | 備考 |
|---|---|---|
| 飛鳥・奈良 | 前玉(さきたま)郡 | 史料初出。律令制下で埼玉郡として整備 |
| 江戸 | 武蔵国埼玉郡 | 浦和・大宮・与野がそれぞれ中山道の宿場として発展 |
| 明治 | 埼玉県 | 廃藩置県で郡名「埼玉郡」が県名に採用 |
| 2001年 | さいたま市 | 浦和市・大宮市・与野市が合併。ひらがな表記を採用 |
| 2005年 | さいたま市(現在) | 岩槻市を編入し現在の市域となる |
地名の特徴
「埼玉市」ではなく「さいたま市」のひらがな表記が採用された背景には、市名公募で「埼玉市」が最多得票を得たものの、「埼玉」の地名発祥の地である行田市(現・埼玉古墳群一帯)から異議が申し立てられた経緯がある。既存地名と重複しないようひらがな表記とすることで決着した。
旧称の大宮市の地名は、武蔵一宮の氷川神社を「大いなる宮居」と称えたことに由来し、信仰由来の地名という異なる性格をもつ。
特産・名物
さいたま市は、浦和・大宮・岩槻という三つの歴史的な地域が2001年に合併して生まれた大都市で、それぞれの地域に根付いた特産品・名物が受け継がれている。
浦和エリアを代表する名物がうなぎ料理である。江戸時代、中山道・浦和宿を往来する旅人に蒲焼を提供したことが始まりとされ、沼地でうなぎが豊富に獲れたこの地域では「うなぎ消費量全国一」と称されるほどの食文化が根付いた。さいたま市の伝統産業にも認定されており、浦和区内には今も老舗のうなぎ料理店が軒を連ねる。大宮区一帯では大宮盆栽が名産として知られる。大正14年(1925年)に盆栽職人たちが集まって「大宮盆栽村」が形成され、現在も6つの盆栽園が営業を続けている。2010年には世界初の公立盆栽美術館「さいたま市大宮盆栽美術館」が開館し、海外の愛好家にも広く知られるようになった。岩槻区では岩槻人形が400年近い歴史を持つ伝統産業で、衣裳着人形と江戸木目込人形の2種類が経済産業省指定の伝統的工芸品に認定されている。また、市内では**紅赤(べにあか)**と呼ばれるさつまいも発祥の地でもある。1898年に浦和区の農家が発見した品種で、栗のような風味とホクホクした食感が特徴の「さつまいもの女王」として知られ、現在は市内の研究会が栽培を続けている。
さいたま市はふるさと納税(「ふるさと応援」寄附)の返礼品として、浦和のうなぎ・大宮盆栽・さいたま市岩槻人形博物館や大宮盆栽美術館の入館券・さいたま推奨土産品など、市内各地の産品をまとめて発信している。