語源
「鳥栖」という地名は、奈良時代に編纂された『肥前国風土記』に記された「鳥屋の郷(とりやのさと)」に由来する。
伝承によれば、応神天皇の御代、この地に鳥小屋が置かれ、雉・雁・鴨など様々な鳥を飼育して朝廷に献上していたことから「鳥屋の郷(とりやのさと)」と呼ばれるようになった。その後「鳥巣郷(とりすごう)」→「鳥巣(とりす・とす)」→「鳥栖(とす)」と変化したとされる。
「栖」は「巣(すみか)」を意味する字で、鳥が巣を構えた場所という原義が「鳥栖」という漢字に引き継がれた。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 古墳時代 | 鳥屋の郷(とりやのさと) | 応神天皇の時代に鳥の飼育・献上地として成立 |
| 奈良時代 | 鳥巣郷(とすごう) | 肥前国風土記に記載 |
| 中世〜近世 | 鳥栖(とす) | 漢字「栖」が当てられ「鳥栖」と表記 |
地名の特徴
鳥栖市は佐賀県東部に位置し、筑後川と宝満川の合流点付近に広がる交通の要衝である。江戸時代から主要街道が交差する宿場町として栄え、現在も九州自動車道・長崎自動車道・鳥栖ジャンクションが集まる西九州の交通拠点となっている。
「鳥の巣」という意味の地名が、現在まで交通と人の流れを集める都市として発展してきた点は興味深い。
特産・名物
鳥栖市は九州の交通の要衝として物流が集まる地域柄から、食品加工業も発達している。市内に本社を置く食品会社が製造する「蔵出しめんたい」は、秘伝の調味液で3日間低温熟成させた明太子として人気を博し、ふるさと納税の返礼品にも選ばれている。
畜産では佐賀県のブランド鶏「みつせ鶏」が特産品のひとつで、どぶ漬けから揚げなど加工品でも提供されている。農業ではブランド米「さがびより」が栽培されており、交通の利便性を生かした新鮮な農産物の流通が鳥栖市の食を支えている。