語源
佐伯市の地名は、古代から中世にかけてこの地を支配した佐伯氏に由来するとされています。もともとの読みは「さえき(サヘキ)」で、奈良時代には「佐倍支」と訓むべしとする記述があったと伝えられます。
その後、戦前までは「さえき」と読む例も多く見られましたが、大正5年(1916年)に佐伯町議会で表記の読みが「さえき」から「さいき」へ変更されたとされ、現在の読み方が広まりました。地名の由来そのものは人名由来ですが、読みの変化には地域内外の区別や表記慣行の影響があったと考えられます。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 奈良 | さえき | 「佐倍支」と訓むべしとする記述が伝わる |
| 平安 | さえき | 地名として佐伯の名が見られる |
| 江戸 | さえき | 戦前まで広く用いられた読み |
| 大正 | さいき | 1916年に町議会で読みの変更があったとされる |
| 昭和 | さいき | 現在の読みとして定着 |
地名の特徴
佐伯という地名は、全国的には「さえき」と読む例が多い一方、大分県佐伯市では「さいき」と読む点が特徴です。これは同じ漢字地名でも地域によって読みが異なる好例で、古代氏族名に由来する地名が、近代以降の行政的・慣用的な要因で読みを変えた事例としても興味深いものです。
また、豊後地方では古くから佐伯氏の名が地名・姓として残っており、周辺の歴史地名を考えるうえでも重要な位置を占めています。