語源
尾鷲市の地名由来は、はっきりと確定しているわけではありません。
『日本歴史地名大系』では、貞和2年(1346年)の文書に「おハし」(尾鷲)と見えることが紹介されており、古くからこの呼称が使われていたことがわかります。
由来については、『紀伊続風土記』が二つの説を伝えています。ひとつは「大輪内(おおわうち)のつまりたるなるへし」とする説、もうひとつは「山の尾端(おはし)にあるより称したる村名なり」とする説です。
このうち、現在の地名解釈としては、山の尾の先端に位置する地形にちなむ説が有力な説明として扱われています。
また、地元では本来「おわしぇ」と読んでいたものを、標準語化して「おわせ」としたとする説明もあります。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 室町 | おハし | 1346年の文書に見える表記 |
| 江戸 | 尾鷲 | 『紀伊続風土記』で由来説が整理される |
| 昭和 | おわせ | 市名として制定、読みを標準化 |
地名の特徴
尾鷲市は熊野灘に面し、山が海に迫る地形とリアス式海岸が特徴です。
地名の「尾」は山の尾根や尾端を連想させ、地形由来の地名として理解しやすい性格を持っています。
同じく三重県南部の熊野地域には、峠名や浦名に古い地形語・海岸地形に由来する地名が多く、尾鷲もその一つとして位置づけられます。
特産・名物
尾鷲市は「さかなのまち尾鷲」として知られ、温暖多雨な気候と黒潮の恵みを受けた漁業のまちだ。カツオ・マグロ・ブリ・サーモンなどの海産物が主な特産品で、新鮮な魚をその日のうちに加工した干物や、カラスミ・活伊勢海老などの高級品もふるさと納税返礼品として提供されている。「尾鷲ヒノキ」は独特の地形・気候が育む赤みを帯びた美しい木肌と優れた耐朽性で知られる銘木で、木工品・家具・カバンなどの工芸品としても展開されている。柑橘類の甘夏も産地として名が通っており、市の温暖な気候を生かした農産物として定着している。