語源
「上小阿仁(かみこあに)」は、小阿仁川の上流にあたる地域を指す名である。『日本歴史地名大系』は上小阿仁村について「小阿仁川の上流に沿い南北に細長い区画を占める」と記し、『ブリタニカ国際大百科事典』も「米代川の支流小阿仁川流域を占める村」とする。川の名に、上流を示す「上」を冠した形である。
では「小阿仁」はどこから来たのか。房住山にまつわる伝承が伝わっている。房住山を支配していた高倉長者の娘婿が「阿仁殿」と呼ばれ、その領する地域が「大阿仁」、長者の実子が支配した地域が「小阿仁」と称された、というものである。この伝えに従えば、「阿仁」は人の名に由来し、「大/小」はその支配の分かれを示すことになる。
ただし、これは伝承であり、辞典類が確定した語源として示しているものではない。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 中世(伝承) | 小阿仁 | 房住山の高倉長者の実子が支配した地域とされる。「大阿仁」に対する名 |
| 明治22年(1889) | 上小阿仁村 | 4月1日、町村制施行により小沢田村・五反沢村・福館村・杉花村・堂川村・仏社村・沖田面村・大林村・南沢村が合併して発足 |
| 平成 | 上小阿仁村 | 平成の合併では協議会を離脱し、単独立村を選択 |
地名の特徴
上小阿仁村は、村域のほとんどを森林が占め、小阿仁川に沿って南北に細長く延びている。川の流れる方向がそのまま村の形になっている土地であり、「上流の小阿仁」という名はその地形を端的に言い当てている。
「上」「下」で川筋の位置を分ける命名は全国に広く見られるが、この村の場合、対になるはずの「下小阿仁」という自治体は存在しない。「阿仁」の名を継いだ旧阿仁町も、2005年に合併して現在は北秋田市の一部である。伝承の語る「大/小」の対のうち、自治体名として今も「阿仁」を残すのは上小阿仁村だけになった。
特産・名物
上小阿仁村は、豊かな森林資源と清流に恵まれた山里であり、その自然の恵みを活かした特産品が豊富です。
【代表的な特産品】
- 食用ほおずき: 全国的にも珍しい特産品として知られ、南米ペルー原産の果実を栽培しています。糖度は13~16度と高く、ビタミンA、C、Eやイノシトールが豊富に含まれる栄養価の高いフルーツです。
- 天然秋田杉・コブ杉: 藩政時代から「天然秋田杉の里」として知られ、上大内沢自然観察教育林には樹齢250年以上の天然秋田杉群が生育しています。特に「コブ杉」は林野庁の「森の巨人たち百選」にも選ばれるなど、貴重な山林資源です。
- 焼き菓子: 地元の素材を活かしたクッキーやサブレなどの焼き菓子が人気です。発酵バターの風味とサクサク感が特徴で、手軽に楽しむことができるお土産としても親しまれています。
これらの特産品は、村の豊かな自然環境(小阿仁川など)から育まれた恵みであり、「こあぴょん」というキャラクターにも愛されるほど地域に根差したものです。