語源
「神奈川(かながわ)」の地名の語源は、かつてこの地域を流れていた**「上無川(かみなしがわ)」**という小川に由来するとされる。この川は現在の京急東神奈川駅付近を流れていた全長約300メートルの小川で、水源(上流)が不明なことから「上が無い川(かみなしがわ)」と呼ばれた。
これが「かんながわ」→「かながわ」へと変遷し、漢字では「金川(かながわ)」とも書かれた。後に「神奈川」という当て字が定着し、中世の文献にも「神奈河」として記録が残る。
地名の初出は古く、1266年(文永3年)に鶴岡八幡宮に保管された文書に「武蔵国稲目、神奈河両郷」という郷名として登場している。当時から陸上・海上交通の要衝として栄えていた。
県名確定の経緯
江戸時代に東海道の宿場町「神奈川宿(かながわしゅく)」として発展したこの地に、1859年(安政6年)に横浜港が開港したことを機に「神奈川奉行所」が設置された。
明治維新後、1868年(明治元年)9月21日、神奈川奉行所の後身として「神奈川府」が成立し、同年に「神奈川県」へと改称された。県庁が現在の横浜市中区(旧・横浜村・横浜新田付近)に移転した後も、県名は奉行所設置地の「神奈川」を踏襲した。
歴史的変遷
| 時代 | 区分・名称 | 備考 |
|---|---|---|
| 律令期 | 武蔵国・相模国 | 現・神奈川県域は二つの令制国に分かれていた |
| 鎌倉時代 | 鎌倉府(相模国) | 鎌倉幕府の所在地として政治の中心となる |
| 江戸時代 | 神奈川宿(東海道) | 東海道の宿場町として発展 |
| 1859年(安政6年) | 神奈川奉行所設置 | 横浜港開港に伴い奉行所を神奈川宿に設置 |
| 1868年(明治元年) | 神奈川府→神奈川県成立 | 9月21日を立庁記念日とする |
| 1876年(明治9年) | 現在の県域に近づく | 足柄県が統合されて相模国全域を包含 |
地名の特徴
神奈川県は県庁所在地が「横浜市」であるにもかかわらず、県名は横浜ではなく「神奈川」となっている。これは横浜港が開港する以前は「神奈川」が東海道の主要拠点として知られていたためで、幕末の開港交渉でも「神奈川沖」という表記が条約に用いられた。開港後に横浜が急速に発展したが、すでに定着していた「神奈川」の名がそのまま県名として受け継がれた。現在も横浜市内の「神奈川区」にその名をとどめている。