語源
別府市の「別府」は、もともと中世の荘園制度に関わる語である「別符(べふ)」に由来すると考えられています。
Web検索結果では、宇佐神宮の所領であった石垣荘において、開墾して新たに加えられた土地を「別符」と呼び、それが次第に「別府」と表記・発音されるようになった、という説明が示されています。
この「別符」は、国司の許可を受けて別に支配・納税が認められた土地を指す言葉で、現代的にいえば特別区のような性格を持っていました。
そのため、別府という地名は温泉や地形そのものを直接表すというより、土地制度と開発の歴史を反映した名称といえます。
なお、別府市の古い呼称としては、奈良時代の「敵見郷」、平安時代の「朝見郷」が挙げられ、これらは「熱い水」や「熱い海」に由来する古い地名と結びつけて説明されることがあります。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 奈良 | 敵見郷 | 『続日本紀』に見えるとされる古い呼称 |
| 平安 | 朝見郷 | 『和名抄』に見えるとされる呼称 |
| 平安末期 | 別符 | 石垣荘の開発地・別納地を指す語として成立 |
| 江戸 | 別府 | 地名として定着していったとされる |
| 昭和 | 別府市 | 1935年に市制施行 |
地名の特徴
「別府」という地名は、大分県だけでなく九州各地に広く分布しています。
これは、特定の地形名というよりも、荘園制のもとで新開地や特別な支配区画を示す「別符」が各地に用いられたことを示しています。
別府市の場合は、温泉地としての印象が非常に強い一方で、地名の由来そのものは中世の土地制度に根ざしています。
同じ「別府」でも、地域によって「べふ」「びゅう」など読みが異なる例があり、地名の広がりと歴史的背景の多様さをよく表しています。