語源
「田上(たがみ)」は、「田の上」——水田・田畑より上方(山側・丘陵側)に位置する土地——を意味する地形地名である。
町域の東半分は新津丘陵(山地)、西半分は越後平野(低湿な水田地帯)で構成されており、人が居住・耕作しやすい「水田の上の高台」という地形がそのまま地名に結びついたと考えられる。
「田上」という表記・読みは全国に広く見られる地名で、同じく「田の上=水田より高い場所」を意味する地形地名として各地に分布する。新潟県南蒲原郡の「田上」は、室町時代にはすでに記録に現れており、後醍醐天皇の皇子・護良親王に従った人物がこの地に定住したという伝承も伝わる。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 縄文時代 | — | 丘陵地帯から縄文中期の土器・石器が出土。古くから人が定住 |
| 室町時代 | 田上(推定) | 南北朝・室町期に地名として記録される |
| 江戸時代 | 田上村ほか | 新発田藩領→幕府領(寛政元年・1789年)→桑名藩預地(弘化4年・1847年)と変遷 |
| 明治34年(1901年) | 田上村 | 田上村・羽生田村・保明村・横場村が合併して成立 |
| 昭和48年(1973年) | 田上町 | 町制施行により「田上町」に改称 |
地名の特徴
「田上」という地名は日本各地に存在し、滋賀県大津市の田上(たなかみ)が平安時代から知られる著名な例として挙げられる。新潟の「たがみ」という読みは、「田の上(たのかみ)」が転訛したものとみられる。
水田稲作が盛んな越後地方において、低湿な平野部(水田地帯)と丘陵・山地の境界に形成された集落に「田上」の名が付けられることは自然な成り行きであり、地形と地名が一致した典型的な例といえる。現在も町内には竹林や桃・梅の産地が広がり、水田と丘陵が接する地形的特徴は今日まで受け継がれている。