🗾 地名由来辞典

能代市 ( のしろし )

秋田県 / 能代市 飛鳥時代由来

AI生成

『日本書紀』に「渟代」と見える古い地名。のち「野代」と書かれたが、大地震を機に宝永元年「能代」へ改められた。

語源

「能代」は、表記を三度変えてきた地名である。

初出は『日本書紀』斉明天皇4年(658)の**「渟代(ぬしろ)」で、阿倍比羅夫の蝦夷遠征に関わる記事に見える。次いで『続日本紀』宝亀2年(771)6月27日条には「野代湊」**とあり、以後長くこの表記が用いられた。

「野代」から「能代」への改字は、地震がきっかけだった。『日本歴史地名大系』が引く「代邑聞見録」によれば、元禄7年(1694)と宝永元年(1704)の大地震に機縁があり、「野代は野に代ると読字なる故度々大変ありと」——野が変わる、つまり土地が変わってしまうと読めるのは不吉だ——という理由で改名が願い出された。同書は「野の字計り御改め宝永元年より能代と諸国へ通達す」と記す。野の一字だけを改め、宝永元年(1704)から諸国へ「能代」と通達された。「よく代わる」と読めるようにした、という説明も伝えられている。

一方、もとの「ぬしろ」という音そのものの語源は、はっきりしていない。アイヌ語の「ヌプシル(nup-sir)」=台地上の草原地からの転語とする説があるが、確定的なものではない。当時この地域が蝦夷の居住圏にあったことから唱えられている説である。

歴史的変遷

時代呼称備考
飛鳥(658)渟代『日本書紀』斉明天皇4年4月条に初見
奈良(771)野代湊『続日本紀』宝亀2年6月27日条
江戸(1704)能代元禄7年・宝永元年の大地震を機に改字。宝永元年より諸国へ通達
昭和15年(1940)能代市10月1日、山本郡能代港町・東雲村・榊村が新設合併して発足

地名の特徴

能代の地名は、表記の変遷そのものが記録として残っている珍しい例である。多くの地名は好字への置き換えが行われた時期も理由もわからないが、能代の場合は「代邑聞見録」に、地震という具体的なきっかけと、「野に代る」という字面への不安がはっきり書き留められている。

漢字が音に当てられた名では、字面がのちに独り歩きして意味を生む。「野代」は本来ただの当て字だったはずが、災害の続いた時期に不吉な読み方をされ、改められた。地名が土地の記憶であるだけでなく、そこに住む人の心持ちによっても書き換えられることを、この地名はよく示している。

特産・名物

能代市は豊かな自然と歴史に育まれた特産品が豊富です。特に、秋田県を代表する銘柄鶏「比内地鶏」や、地域資源を活用した生活用品などが知られています。

【主な特産品】

地名の変遷

  1. 飛鳥 渟代 — 『日本書紀』斉明天皇4年(658)に見える初出の表記
  2. 奈良 野代 — 『続日本紀』宝亀2年(771)に「野代湊」と見える。宝永元年(1704)まで用いられた

参考資料・出典

最終更新: 2026-09-05