語源
「南相馬」という市名は、平成18年(2006年)1月1日に原町市・小高町・鹿島町の1市2町が合併して市が発足した際に定められた新しい名です。旧市町のいずれかの名を継いだのではなく、地域を指す広い呼び名に方角を冠して組み立てられました。
冠せられた「相馬」は、この一帯の郡名です。コトバンクが引く辞典では、福島県の相馬郡について「郡名は近世の相馬中村藩に由来するという」とされ、郡そのものは「明治二九年(一八九六)行方郡と宇多郡が合併して成立」しました。藩主の相馬氏は平将門を祖とする関東の名族で、下総国相馬郡(現在の茨城県)を名字の地とし、源頼朝の奥州征伐の功で奥州行方郡を与えられて当地に移っています。つまり「相馬」は、人の名字が藩名になり、藩名が郡名になった地名です。
その相馬郡・相馬地方のうち南側にあたることから「南相馬」となりました。北隣にはすでに相馬市があり、名の上でも位置関係が示される形になっています。なお合併協議は当初、飯舘村を含めた旧行方郡の枠組みで進められ、新市名には「行方市」も候補に挙がっていました。
中心部「原町」の由来
市の中心部である原町区の地名は、宿場町を意味する「原ノ町」に由来します。市公式サイトによると、中村藩の地誌『奥相志』には村駅(宿場町)のことを「原ノ町」と呼んでいたことが記されており、現在の原町区本町周辺がその中心だったと考えられています。この「原」は、野馬追の舞台となっていた「野馬追原」にちなむもので、原町は「原」のそばにある「町」という意味合いの地名でした。
明治期には「原ノ町」と書く例が多く見られましたが、町名としては次第に「ノ」が省かれ、明治30年ごろには「原町」とする認識が定着していったとされます。これは区名の由来であり、市名「南相馬」の由来ではありません。
歴史的変遷
| 時代 | 呼称 | 備考 |
|---|---|---|
| 江戸 | 原ノ町 | 宿場町として呼ばれた地名。『奥相志』に記載 |
| 明治22年 | 原町村 | 南新田村・桜井村・上渋佐村・下渋佐村の合併で成立 |
| 明治29年 | 相馬郡 | 行方郡と宇多郡が合併して成立。郡名は相馬中村藩による |
| 明治30年 | 原町 | 町制移行に伴い、町名として「ノ」が次第に省かれる |
| 昭和29年 | 原町市 | 市制施行により原町市が成立 |
| 平成18年 | 南相馬市 | 原町市・小高町・鹿島町の合併で成立 |
地名の特徴
南相馬市の市名は、平成の大合併期に多く生まれた「方角+広域地名」型の自治体名です。旧市町名を捨てて地域全体の呼び名を採ったため、市名からは中心市街地の名(原町)が見えなくなりましたが、区名として残されています。
「相馬」という名自体が、名字 → 藩名 → 郡名 → 市名と受け渡されてきた地名であり、そこにさらに方角が加わった点で、地名の層が重なった例といえます。
特産・名物
南相馬市は、豊かな自然に恵まれ、米や海苔をはじめとする食の宝庫です。特に「お米」と「海苔」が代表的な特産品として知られています。
- コシヒカリなどの高品質な米: 南相馬市では、ブランド力のあるコシヒカリなど、有機栽培に取り組んだ安全なお米が生産されています。低温管理された白米や、地元品種の「天のつぶ」を使ったパックご飯など、食卓を豊かに彩るお米が豊富です。
- 特選焼き海苔: 職人の手作業によって丁寧に焼き上げられた焼き海苔は、その豊かな香りと深い旨味が特徴です。贈答品としても人気が高く、上質な味わいを求める方から支持されています。
- 相馬田舎味噌などの調味料: 地元の伝統的な製法を受け継いだ「相馬田舎味噌」をはじめとする発酵食品も特産品の一つです。天然醸造法でじっくり熟成された味噌は、地域に根差した深い味わいを提供します。
南相馬市の特産品は、お米や海苔といった定番の品目から、季節のフルーツゼリーや地元の調味料まで幅広く展開しています。